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1gビーコン発信器 LT-05 モリアオガエルへの取付事例

2024年10月21日

モリアオガエルの生態・行動調査、はじまる。

[ 西宮市立山口中学校 モリアオガエル保存会 ボランティアの軌跡 冊子より転載させていただきました ]

彼らは、池に水がないのに、どうして卵塊を残したのか?

船坂のため池で事件が起きる。「毎年やってくる水が来ない」。モリアオガエルの産卵最盛期に、池底が完全に顔をのぞかせる。しかしそこには、例年に近い数である76個の卵塊が、枝も撓わに実っていた。

モリアオガエル命のリレーは絶たれるのか

「私らも困ってるんです。今はなんとか汲み上げた水で田んぼに水入れてんのやけど。池のカエルさんまでは間に合いませんねん。」池の管理者も、初めての渇水にお手上げのようだった。保存会の活動に好意的であっても、本当にどうにもできない。

「今年もか…」様々な理由で失われるため池。また、大切なため池が1つ消えてしまい。「彼らにはもう会えなくなるのか」という想いが頭をもたげ、池への想いが遠のく。それでも何かに背中を押されながら、7月の山道を登ると、見えてきた景色に生徒は驚嘆した。

「なんでやねん!水がないのに」目の前にはあり得ない景色が広がる。池に水がないのにもかかわらず、多くの卵塊がフルーツのように実っていたからだ。

モリアオガエルの“教科書”には、「メスは数匹のオスを引き連れて、池の水面に張り出した枝に卵塊を産む」

とある。しかし。この池での出来事を解明する手がかりは見つかっていない。全く水のない池に卵塊を残したのは、彼らが持つ帰巣本能がもたらした産物であるのか。それとも、予期せぬ事態にモリアオガエルが対応できなかった結果か。疑問は晴れぬまま数個の卵塊を持ち帰った。今後の活動で、この問いが明らかにできることを願う。

モリアオガエルはどこに行ったのか

令和3年(2021年)の7月。船坂の池が土砂崩れのため、池の1つがなくなろうとしていた。(写真中央下)すぐに復旧工事が行われたものの、池の水はいつまでも濁ったままで、少しずつ池の範囲は狭められ、アカハライモリが窮屈そうに漂っていた。

そんな中、工事関係者から「モリアオガエルの生息域を壊さないように、復旧作業を進めたい。彼らの生息範囲はどれくらいなのか?」という問い合わせがあった。論文や文献には「最大200m程度移動する」という記載があったが、記録は古く、山口町のものでもない。そこで、発信器を取り付けた行動調査をしようという事になった。

小型1gビーコン発信器 LT-05

令和6年(2024年)公益財団法人自然保護助成基金第34期(2023年度)プロ・ナトゥーラ・ファンド助成を受けたこと、ちょうど1g発信器が開発され、モリアオガエルのような小さな両生類でも発信器が使えるようになったことで、今回の調査が可能となった。

モリアオガエルが池周辺から姿を見せなくなる7月下旬から8月にかけての2週間の間、6匹のオスと2匹のメスの成体に発信器を取り付けて調査を行った。

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モリアオガエルは最大656mも移動している

結果は予想に反し、最大656mも移動していることが分かった。また、池から移動した後、数日間ほぼ同じ場所に留まり、大きな移動が見られなかった。今回の調査はゴルフ場と県道に挟まれた長細い森であったため、電波を受信しやすかったが、私有地をまたぎ、道のない森の中を移動する事ができず、おおよその位置特定に留まった。

さらに詳細な調査を進めるためには、周辺の土地所有者の許諾が必要となり、今後の行動調査計画を再考する必要がある。

モリアオガエルの保護活動をしているからこその、生徒の心の醸成

モリアオガエルの保護活動をしているからこそ緑地の奥にまで踏み入り,環境を見続けることができている。また、生徒の疑問から様々な探究課題が生まれ、モリアオガエルを通して地域の自然環境を見守る意識がたくさん芽生えている。保存会を発足した当初は思いもよらなかった生徒の心の醸成が育まれているのである。


図中の丸数字は調査開始からの経過日です。 図版利用許諾番号:PL2103©INCREMENT P CORP.

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